光ファイバーの端面検査と分析における AI の役割

今月下旬に、VIAVI のチームはワシントン DC とコペンハーゲンで開催される SCTE TechExpo と ECOC (欧州光通信国際会議)に参加します。このブログでは、光ファイバーの端面検査における AI の必要性の高まりと役割について検討するとともに、これらの展示会で展示される主要なイノベーションの 1 つである INX™ 760 プローブマイクロスコープにに注目します。.
この装置は、単芯および多芯コネクターの自動検査および分析用に 2024 年 3 月に発売されたもので、業界で初めて AI による画像解析を実現した装置です。
コネクター端面の自動分析
光ファイバーコネクター端面の自動分析のすべてに AI が必要というわけではありません。AI は、単独のツールとしてではなく、従来型のアルゴリズムベースの技術を補完する目的に使用すべきです。多くの状況で、AI はナッツを割るためにハンマーを使うようなものであり、大量に計算資源を消費するハンマーです。
実際、均一なセラミックフェルールコネクターの端面の自動分析では、依然として従来型の分析方法が画像を評価し欠陥を検出するための最も効率的なツールです。図 1 は、この従来型の分析手法を示しています。プローブマイクロスコープを使って、二重コネクターの端面を検査します。各コネクターの端面には、セラミックフェルールに固定された光ファイバーが収められています。この場合、ファイバーは明るいフェルールに対して暗く見え、マイクロスコープは自動的に欠陥を検出して、その部分を強調するため、端面の合否を簡単に評価できます。

従来型の画像解析は、傷やピット、汚染などの欠陥を検出するために、決定論的なルールベースのアルゴリズムを使用しています。この方法は迅速かつ効率的であるため、セラミックフェルール付きコネクターの検査に最適な選択肢です。また、適切なチップを備えた INX 760 マイクロスコープで、従来型の解析を行うと、1 回のテストで二重光ファイバーコネクターを 5 秒以内に自動的に検査できます。
ただし、データスループットが増加するにつれて、ファイバー密度も増加します。例えば、データセンター業界では、MPO、MMC、SN-MT などの高密度多芯コネクターへの切り替えが進んでいます。これらのコネクターは、複数のファイバーが 1 列または複数列に配置された長方形の MT フェルールを使用しています(図 2 参照)。
図 2:長方形の高密度 MT フェルールコネクター内の 12 本のファイバー(左)と 1 本のファイバーの拡大画像(右)
この画像では、12 本のファイバーが MT フェルール内で一列に並んでいます。従来のセラミック製フェルールとは対照的に、フェルールの材質はもはや均一な白地ではありません。そうではなく、これはガラス繊維を充填したポリマーであり、埋め込まれたガラス繊維の一部が、光ファイバーやフェルール上の欠陥のように見える場合があります。その結果、MT フェルールを備えた多芯コネクターの自動検査は、より困難になります。
AI のトレードオフ
AI による画像解析では、大規模なデータセットで学習した機械学習モデルを使用します。このアプローチは、MT フェルールが提供するような複雑な画像やノイズの多い画像を扱う際により有効です。
AI はより多くの計算資源、具体的には、より強力なプロセッサと大容量のメモリを必要とします。INX 760 マイクロスコープは、最も近い競合プローブマイクロスコープの 2.4 倍の処理能力と 2 倍のメモリを備えており、クラウド接続に依存することなく、リアルタイムでオンデバイスの AI 推論を可能にし、フィールド検査用途で迅速かつ安全な分析を実現します。
INX 760 マイクロスコープはその両方の長所を備えています。その従来型アルゴリズムは、迅速かつエネルギー効率の高い分析を実現します。さらに、MTフェルールを扱うような複雑な分析シナリオでは、AI主導の画像解析によって機能が強化されます。