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先日マドリッドで開催された ETSI 量子安全暗号会議に出席する機会がありました。この会議では、暗号、通信、金融、クラウド分野の世界的なリーダーが集まり、量子安全な未来への道筋について議論しました。このイベントは技術的な洞察に富んでいましたが、それ以上に重要だったのは、ポスト量子暗号(PQC の世界を形成する主要な関係者と知り合いになれたことです。

私は以下について学びました。

PQC 市場:理論から実装へのシフト

PQC をめぐる緊急性はもはや机上の空論ではありません。NIST の標準化プロセスが完成に近づき、規制当局からの圧力が高まる中、各業界は認識から行動へと移りつつあります。しかし、ノキアのアリトラ・バネルジー氏がプレゼンテーションの中で的確に指摘したように、「より高いセキュリティには、より大きなパフォーマンスコストが伴います。」

BIS のアンジェラ・デュポン氏は、金融システムの量子耐性化に関する非常に興味深いホワイトペーパーを発表しました。その中で、二つの中央銀行間で行われた量子安全な金融取引に関する最近のテストの概要を説明しました。その結果、暗号のレイヤーが追加されるため、トンネルの設定時にパフォーマンスに影響が出ることがわかりました。しかし、規模、鍵のローテーション、ネットワーク障害はテストされていません。金融機関がシステムを量子耐性化しても、日々の取引が影響を受けずに継続できると確信するためには、これらのすべてに対処する必要があります。

サンタンデール銀行のハイメ・ゴメス・ガルシア氏は、「銀行ネットワークにおけるマルチベンダーマルチプロトコルの量子安全 IPSEC 動的マルチポイント VPN」と題し、セットアップ時のレイテンシの増加などの問題を取り上げ、IKEv2 セキュリティアソシエーションの確立プロセスについて深く掘り下げた興味深い講演を行いました。PQC の導入前、この処理にかかる時間はわずか 38 ミリ秒でした。PQC 導入後は 12,626ミリ秒かかり、レイテンシが大きく跳ね上がりました。

こうした意見は、銀行からモバイル通信事業者、クラウドプロバイダーまで、会議全体で共有され、環境で PQC の性能をどのようにテストし検証するかという重大な課題を浮き彫りにしました。

VIAVI の役割

VIAVI では、パフォーマンステストは PQC への移行における極めて重要なミッシングリンクであると考えています。組織が量子安全アルゴリズムを採用するにつれ、セットアップ時のレイテンシの増加、プロトコルの複雑化、スケーラブルでベンダーニュートラルなテスト環境の必要性など、新たな課題に直面します。

TeraVM は、米国国立標準技術研究所(NIST)によって選定された PQC アルゴリズムをサポートする初のクラウド対応テストプラットフォームです。 TeraVM セキュリティテストにより、組織は、PQC を使用して IPSec または TLS トラフィックを開始または終了するエンタープライズデバイス、コンテンツ配信ネットワーク、端末のパフォーマンスのベンチマークを実施できます。

このソフトウェアベースのツールは、汎用市販(COTS)サーバーまたはクラウドプラットフォーム上で動作し、柔軟性と拡張性を提供します。ネットワーク機器メーカー、通信事業者、研究機関から信頼されている TeraVM は、セキュリティコンプライアンスおよびセキュリティレイヤーがパフォーマンスに与える影響のテストにおいて、その有効性が実証されています。

今後の展望

PQC への移行は、ロードマップの策定が進められるなど、現在大きな注目を集めています。PQC についてはまだ不明な点が多いものの、この移行がパフォーマンスと拡張性において課題になることは明らかです。業界が導入に向けて動き出す中、VIAVI は、テスト、検証、保証の最高のパートナーになる態勢が整っています。規制上の予備検査への参加、標準化団体との協力、あるいは企業との直接的な関わりなど、どのような形であれ、当社は世界の量子安全な未来への移行を安全かつ効率的に支援してまいります。

PQC を検討中で、ネットワークやアプリケーションのパフォーマンスに対するその影響を理解したいと思われる場合は、ぜひ, 当社までご連絡ください!

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ワイヤレスソリューション担当マーケティングマネージャー、VIAVI

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